庭園の公園管理における特殊なやり方とは?~選択除草による植生管理~
墨田区にある向島百花園はご存じでしょうか。江戸時代に造られた庭園で、季節の七草、池にはハナショウブ、ハギできれいに形どったトンネルなどの植物はもちろん、野鳥や昆虫も観察できる自然豊かなところです。そんな由緒ある庭園で私たちが任されている仕事とはなにか。今回は向島百花園で行っている公園管理についてお話します。
公園管理ってどんなことするの?
向島百花園での主な作業は除草です。しかし、ひとくくりに除草といっても作業する内容にいくつか違いがあります。人が歩く道や橋の際に生えている植物を見通しがわるくなってしまわないように刈り取ります。その際、すべての植物を刈り取ってしまうわけではありません。希少な植物があれば刈り取らず残します。また刈取りではまたすぐに生長してしまうような厄介な植物は根っこから引っこ抜くようにします。このような作業を通して私たちは庭園の風景や植物の状態に気を配り、景観と植生の保護に努めています。続いてそんな除草作業のひとつである選択除草についてお話します。


選択除草って?
選択除草とは、園内で残したい植物は避け、庭園の風景に乱れをなすような植物を除草する作業となります。例えば、(外来種であり繁殖力の高く早期の対応が必要となる)セイタカアワダチソウや植物の周りを覆い見栄えを悪くするヤブガラシなどのつる性植物は特に展示されている植物ではなく、庭園の風景としても鬱蒼としたイメージをもたらしてしまうため除草します。その際展示されているミソハギや、サクラタデ、ジュズダマなどは残します。また、展示している植物も時と場合によっては除草します。ミソハギは夏ごろにきれいな花を咲かせますが、時期を過ぎると枯れてしまい庭園の景観を損なうことになります。そのため時期の過ぎたミソハギは刈り取ってしまうのです。


この写真の通り、雑草で鬱蒼としていた箇所を展示している植物を残しつつ除草を行いました。作業後はさっぱりとしていて植物が明確になりましたね。
選択除草によってもたらす植生の変化は?
選択除草には景観を整えるほかに自然環境にとって重要なメリットがあります。先ほどご紹介したセイタカアワダチソウやヤブガラシは繁殖力がとても強く、ほかの植物を抑え優先して増えていきます。すると多種多様な植物がみられず強い植物のみ生きられる環境になってしまうのです。そのため、定期的に特定の植物を刈り取るなり根っこから引き抜くなりして優先されやすい植物を人の手で抑制し、色とりどりの豊かな植栽を維持することが可能となるのです。



~庭園で生まれたカルガモ~
向島百花園では園内1/4ほど広がる池があります。そこでガマやススキ、ハスなどの植物を観察することができます。そんな池にはカルガモもやってきます。4月頃、私たちが作業している最中にカルガモの巣を発見しました。無事に孵り、小さな赤ちゃんカモの様子が見られるようになりました。今では大きく成長し親と見間違えるくらいになり、嬉しい限りです。このように都会の中でも懸命に生きる生き物たちを見ると自然環境を守ることへの意欲がより一層強まります。


公園管理の詳細については以下のリンクから