希少種のオニバスを覆いつくすヒメガマの全刈り作業~除草がもたらす効果とは?~

オニバス 花も少々咲いている

上の写真はオニバスという絶滅危惧種Ⅱ類に分類されている珍しい植物です。池や沼に生息しており、夏頃に大きな葉を水面に浮かべ、大きな紫色の美しい花を咲かせます。昔は数多く生息していたのですが、池の埋め立てや都市開発による水質悪化により減少しています。都内で唯一の自生地である都立水元公園のオニバス池で繁茂しているヒメガマをすべて刈り取る作業を行いました。

ガマを刈ることによるメリットとは?

ヒメガマとは、水辺などに生息している高さ2mほどになる草本です。皆さんもソーセージのようなものがついた草は見たことがあるのではないでしょうか?そのソーセージが穂であり、たくさんの種のかたまりとなっています。

8月下旬、刈り取り作業を行う前はガマが池すべてを覆いつくされている状態でした。これではオニバスがヒメガマに隠れてしまい、外から見てもオニバスを確認することができません。また、日光が水面にあるオニバスまで届きづらくなります。また、オニバスへの影響のほかに池に生息する生き物の種類が限られてしまうなど、自然環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

全刈りするための作業内容とは?

ガマ刈り取りの様子
刈り取ったガマ

作業内容は池に生えたガマをひたすら刈り続けます。池の中はかなり泥深く、一歩、また一歩と歩くだけでも体力をかなり奪われてしまいました。そんな作業を続けていくうちに、ガマは確実に減り水面が見えるようになり、ガマで覆われて見えていなかったオニバスが自生しているところが見えるようになりました。大変な作業も報われた気がして嬉しい気持ちでいっぱいです。

ヒメガマ全刈り後の様子

9月下旬、最初ヒメガマだらけだった池の全刈りが終了しました。写真左側にあるヨシの群落はトンボなどの生息地として残しました。

おまけ~ヒメガマによる環境の変化~

今回ご紹介したヒメガマは当初池全体を覆いつくすほどでした。この状態が続くと池にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

ヒメガマは多年生であるため根や茎が残っていれば何度も何度も生えてきます。すると死んで枯れたものが堆積物として池にどんどんとたまっていきます。そうして月日が経っていくうちに池の水位が上がっていき陸地化していきます。このような現象を遷移といいます。池の水位が上がることはオニバスの生息環境が崩れてしまうこと。今回のような除草を行い続けなければ消えてなくなってしまう環境があります。そんな状況を回避するため、人が介入することは自然保護のためにも必要となってくるのです。

私たちは様々なところで公園管理を行っています。興味のある方は是非以下のリンクからご覧ください。

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