弊社では屋上に水辺空間を創ることをご提案しています。
ここでは「屋上緑化雨水池」を例に、屋上の水辺空間に期待できる効果を説明します。
屋上緑化雨水池
屋上緑化雨水池とは
弊社がご提案する雨水貯留機能及び自動調水機能付のシンプルな雨水池のことです。
※屋上ビオトープにも、この雨水池の仕組みを応用して取り入れています。
特徴
- 浅い水域(水深10㎝程)を造るだけなので、施工が簡単で、軽重量です。
- 通常、土壌などを使用しないので安価な施工が可能です。
- 雨水池に降った雨は水位の上昇で越流し、水はタンクに貯められます。
池の水位が下がるとその水が自動給水されるシステムを取り入れます。(特許出願中) - 水生植物や藻類は日本産で、夏期に増殖する種を導入します。
- メンテナンスは植物や藻類が繁茂しすぎたら除去するだけです。また、面倒な水やりの手間は要りません。
原理
水生植物や藻類の光合成は太陽エネルギーを使って二酸化炭素と水から自分の体である有機物を合成します。
それは体内に太陽エネルギーを封じ込めることに他なりません。反応式で表すと以下のようになります。
夏期に成長する水生植物は水中で生活するので、シバなどの陸上植物よりも増殖速度が速いのが一般的です。
更に藻類は、その数倍の増殖速度を有します。
太陽エネルギーの約50%は熱エネルギーですから、それだけ熱を吸収する効果が高いといえます。
また、必然的に水面や水中に重層的に繁茂する水生植物や糸状藻類は、太陽エネルギーを遮断する効果もあります。
さらに、水辺を創出するのですから水の蒸発潜熱による温度抑制効果もプラスされることになります。
以上のように屋上で水辺、特に水生植物や藻類を繁茂させることでクールにすることが可能となります。
雨水池を緑化するメリット
2005年の夏に行った実験では水深8cmの雨水池において、水だけの場合(無緑化)と水生植物や糸状藻類により緑化した場合とでは水面の表面温度に明確な差はありませんでした。
これは蒸発潜熱や気温を下げる効果も無緑化と緑化雨水池とではほぼ同じであることを示しています。
緑化せず水のみの状態でも蒸発潜熱によるヒートアイランド現象緩和効果は大きいと考えられます。
しかしながら、さらに緑化することで、以下のようなメリットがあります。
- 無緑化では屋上という条件から風で波立ち、水の飛散量が多くなり多量の池水の減少を招く。
緑化すると波立ちがなくなり、水の飛散が大幅に抑制される。
水の飛散には蒸発潜熱効果がなく、水がただ無駄になるだけである。 - 無緑化では陽射しが池底まで到達し、水全体の水温や屋上表面の温度を上昇させる。
水温の上昇はメダカ等の水生動物にも悪影響を与える。
植物で覆われれば断熱効果が生じ内部の水温はそれほど上昇しない。
これにより建物内部の温度上昇が抑えられ冷房排熱も減少する効果が生まれる。 - 水生植物や糸状藻類の光合成は水中に酸素を供給し、二酸化炭素削減に寄与する。
- 植物があることで、ビオトープ空間としても機能する。
以上により雨水池を緑化することで様々な機能が加わり、ヒートアイランド現象の緩和に貢献すると考えられます。