屋上緑化雨水池設置の効果
ヒートアイランド現象の緩和
水の蒸発潜熱
水の蒸発潜熱は他の物質より非常に高く、打ち水等によって気温を下げる効果はよく知られています。
このため雨水池は水を張るだけでも蒸発による効果がもたらされます。
植物の蒸散
植物の葉からの水の蒸発は「蒸散」といいます。
葉温を下げ、水を根から葉へ上昇させて養分の吸収に役立つとされています。
都市部ではコンクリート化が進み、開放水面や緑が減少しために継続的な潜熱効果が発揮する場所が少なくなったことも、ヒートアイランド現象を助長させている要因と考えられます。
ヒートアイランド現象緩和効果の概算
ここで緑化雨水池でのヒートアイランド現象緩和効果を概算します。
無降雨であった2005年8月17日から8月22日(平均気温28.5℃、最高気温34.9℃)間の水位低下は1日平均5mm(1㎡当りに換算すると5kgとなります) でした。
これは主に植物からの蒸散によるものと考えられます。
水温28.5℃の蒸発潜熱は582cal/gですから1日の蒸発潜熱量は2910kcal(33.7cal/sec)となります。
この熱量から計算すると、約18㎡の緑化雨水池があれば、1台の家庭用のエアコン(冷房能力2.5KWの場合)と同じ冷房効果を生むことになります。
また、日中の都市部おける顕熱量(大気を直接加熱する熱量で人工排熱によるものも加わる)を仮に1㎡当り71.8cal/sec(300W/sec)とします。
33.7÷71.8=0.47となり、雨水池の蒸発潜熱量は顕熱量の約半分の量に相当します。
つまり雨水池からの蒸散により顕熱量を半分に減少させることが出来きます。
ビオトープ(生物の生息場所)の創出
トンボ類など水辺を必要とする生物のビオトープとして機能します。
既設の雨水池にも、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、アキアカネ、イトトンボ類が自然に飛来しました。
また、雨水池にメダカなど放しておけば、食物連鎖でボウフラの大量発生も抑制されます。
雨水を貯留して都市型水害の軽減
大雨が予想される場合、事前に雨水池と貯留タンクの水を少し抜いておけば、大雨時に雨水を貯留させることができます。
学校などの屋上の広い面積に設置すればそれだけ流出負荷を抑制し、都市型水害の軽減に貢献すると考えられます。
貯留した雨水を活用!
貯留した雨水は、壁面・屋上緑化の灌水等として活用できます。
また、庭への散水や洗車などの雑用水として、さらには地震などの自然災害時には防火用水としても利用できます。
水道水で貯留する災害用の水と違い雨が降れば水が補えるので、水道の供給がストップした時には、 生活用水やトイレ用の水として使うことができます。
心和む憩いの空間
光に照らされ、きらめく水面。風や雨滴によるやわらかな波紋。
水辺は潤いと気持ちがやわらぐ癒しの空間です。
人が集うコミュニケーション空間には最適な場所ではないでしょうか。