ながつた幼稚園(神奈川県横浜市)
丘陵地の湧水や湿地を再現したビオトープの施工事例
ながつた幼稚園(神奈川県横浜市) 2012年3月完成
設計のコンセプトと仕組み
約200m²あるこのビオトープは、斜面の下というユニークな立地条件を活かした設計となっています。
丘陵地の斜面や崖の下には、水が湧き出ていたり、表面を流れた水が溜まったりして、湿地を形成することがあります。
この自然の湧水地や湿地をイメージして設計・施工したのがこのビオトープです。
斜面を伝わって流れた雨水は、効率よくビオトープに流れ込んで滞留します。
溜まった水を植物が吸い上げ、やがて大気中へ蒸散させます。
小川のような比較的早い水の動きはありませんが、自然界にもあるゆっくりとした水循環を再現しています。
蒸散の激しい夏などに水位が低くなると、井戸水が自動的に給水される仕組みになっています。
元の地形と植生を活かした設計と施工
施工完了直後の写真です。
お客様の希望に添って、既存の池は残し、これに付け加える形で水路と池を 施工しました。
北側から撮影した写真です。
写真の右側に見える斜面にはヒトリシズカをはじめとする貴重な野草が生えるとの ことでしたので、施工に際しては表土を削らないように注意しました。
斜面を流れた雨水は木道の左側に掘られた水路に流れ込み、動植物が利用するための水を効率良く滞留させます。
このビオトープには井戸水を自動給水して、水位を調節するためのボールタップが2箇所に設けられています。
1つは写真のとおり既存池から水路への開口部付近に、もう1つはA池の桟橋の下に設けられています。
これにより水が枯れてしまうことはありません。
ながつた幼稚園のビオトープの写真集
2012.8.31
施工完了から5ヶ月後の夏の写真です。
斜面には様々な野草が茂っており、植生が豊かです。
2012.8.31
明るい林床や林縁に自生するキツネノカミソリという野草です。
2012.8.31
この斜面にはツリガネニンジンも自生しています。
こうした貴重な植物と植生をみだりに傷つけないという配慮も、ビオトープを施工する際には重要になります。
2012.8.31
やや湿った場所を好むキツネノマゴという野草です。
このほかにも斜面にはヒヨドリバナをはじめとする野草が自生しています。
2012.8.31
池にはヒルムシロ、ガガブタ、アサザ、ヒツジグサといった弊社が植栽した水生植物が繁茂しています。
多く種類の動物が利用できる豊かな環境が整いつつあります。
2012.8.31
この時はたくさんのヤンマ科のヤゴを確認することが出来ました。
これだけの数のヤゴが生息するためには、生物相が豊かで餌の豊富な環境が必要です。
施工後、約5ヶ月でこのような環境が整ったことがわかります。
今後の経過が楽しみです。
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