哺乳類以外の主な動物たち

ヘイケボタル

 ヘイケボタルは池を造って10年程度は全くその光を確認できなかった。
1㎞程度下った田んぼ周辺に生息場所があり、よく見に行った。
しかし10数年たった頃、池の水生植物が繁茂し出してから、徐々に多くの
数のヘイケボタルを確認されるようになった。
ホタルには池の周囲、またその周辺に豊かな植物群落は必要不可欠なの
だと実感した。
オスは周辺を飛び回っているが、メスは植物の下の方でじっと光って
いて余り動かないようだ。
最近では7月中、夜の7時過ぎると夥しい蛍が飛び交う。
その数100は下らないとみられ、夢のような発光体の乱舞が見られている。

 その光の乱舞の中にいると何故か自然に涙があふれて来る。
彼らの短い夏、命を紡ぐ必死さというか、ひたむきさに自分の気持ちも
動かされ、光の乱舞の中で心がホタルと同化し、ふと我に返るとホタル
への感傷がしみじみと沸き起こってくるかもしれない。

カエル類

 アズマヒキガエルが池を掘った直後から、夥しい数の卵を産み付ける
ようになった。
しかし、近年水生植物が繁茂するようになってから、その卵は余り見かけない。
アズマヒキガエルは都会でもしぶとく生息するが、かなりの高山でもその姿を
見たことがあり、とにかく生命力の強い生き物だ。
しかし結構産卵場所には神経質な面があるようだ。
道の脇の小さな水たまりには産み付けられているのも、よく見る。
従ってただ水が溜まっているような、それも夏になると無くなってしまうような
処が好みかもしれない。
色々な生き物が生息するような水域では、食物連鎖の中に組み込まれることを
警戒しているのだろうか。
また、産卵後には必ずと言ってよいほどメスとみられる死体を目にする。
メスにはカエル合戦に勝った強いオスにより抱接時に締め付けられ、窒息死する
個体もいる。
しかし、その死体は卵から孵った数十匹にも及ぶオタマジャクシの餌となり、
その姿は無くなる。アズマヒキガエルは強烈な自然の営みを赤裸々に見せてくれる。

 他に見られるのはアマガエル、ヤマアカガエル、シュレーゲルアオガエルである。
シュレーゲルは池の端の植物を抜いた時、4匹折り重なっていた。
メスと間違えてオスが重なったのだろう。何とも可愛らしかった。
6月ともなると「キャララ、キャララ」とその鳴き声が一晩中朝まで泣き止まない。
以前はその鳴き声がうるさく聞こえたものだが、最近は何とも哀愁を帯びた声が
体中に同調し、聞くことが大きな楽しみになった。

ヒキガエルの亡骸

雄の包摂で死んだヒキガエル雌(内臓が飛び出ている)
死体は子供のオタマジャクシに食べられる

カルガモ

 カルガモは池を造ってから数年後には飛来するようになり、
多い時で5羽程度見られる。カルガモはその産卵場所が面白く、
アッと思わせることも多い。
池の中島では普通だが、時には池の縁、草むら、ある時は家の前にも卵を見つけた。
親鳥が卵を抱いているのだが、知らないで近づくと、距離1m程になって、
あわてて逃げるのだ。
こちらは全くそれまで、卵のある場所はわからないので飛び立つ瞬間はびっくりする。
草刈りの最中等に遭遇するのだが、一旦親鳥が抱卵を止めると
二度と行わないようである。
いつも悪いことをしたと後悔する。
しかし、毎年産卵するようで、何回か、卵が動物に食べられた跡を見つけたこともあり、
自然豊かな場所での産卵はよほど幸運が重ならない限り、巣立ちは難しいようだ。
従ってこれまで一度も子ガモを見たことはない。
町中の池の方が、天敵が少なく、人に見守られていることもあり、より安全であるようだ。

 また、ショウブが池に蔓延っており、このままだと池全面ショウブに覆われてしまうの
ではと思っていた。
ところが池を観察していると、かなりのショウブが池全面の内側から倒されている。
これはおそらくカルガモが自分の採餌場所等の確保のため、ショウブを倒して水面を狭く
ならないようにしているのではないかと考えられた。
このたくましい行為には本当に驚かされた。

カルガモの食害

ショウブが内側に倒されている

アオゲラ、クロツグミ、マミジロ

 アオゲラは川場の家で最も驚かされた動物で、それが2回ある。
1回目は、家中が鳴り響く「ダ、ダ、ダ」という音でびっくりさせられた。
音の発生場所を見ると、裏の外壁の高い場所にアオゲラが穴を開けている。
よく見ると何ヶ所も開けられている。
外壁が木造なので、壁の内側に巣造りをしようとしたのかもしれない。
大工さんに頼んで上にトタンを貼ってもらって以後、穴開けは無くなった。

 2回目は、これが最大の驚きであり、今もって理解を超えている行為である。
冬、12月~2月まで家を空け、3月に訪れると粘着性のネズミ捕りの上で、
アオゲラが動けなくなって死んでいるのではないか。
何故こんな処で、と思いつつ洗面所に行ってみるとその天井に大きな穴が
開けられていた。
おそらく餌求めてどこからか入り込み、天井を突き破り、ネズミ捕りの匂いに
つられたと推測された。
餌不足の冬季、必死になって餌を探した結果だとはみられるが、どこから家の
中に侵入したのか全く分からない。
どこを見ても侵入する際の穴らしきものは無く、今もって謎である。
ただただ餌を求めてなりふり構わない、迫力ある野生の行動に驚嘆するのみである。

 クロツグミとマミジロは2羽とも家のガラス窓に当たって死んだのだろう。
死体のある場所がベランダの上であり、その上に窓があるためだ。
特に印象的なのは、クロツグミである。
白いおなかに、沢山の小さな小鳥状の、美しい模様が描かれていたからである。
普段は絶対目にすることのできないものだ。
マミジロはそれまでは全く知らない鳥であり、図鑑で調べて同定した。
間違っているかもしれないが。

アオゲラ

ネズミ捕りに捕まったアオゲラ。
トガリネズミ、カマドウマ等も捕まっている

クロツグミ

窓に当たって死んだとみられるクロツグミ

マミジロ

窓に当たって死んだとみられるマミジロ

ノスリ

家の壁にぶつかって死んだ?ノスリ

キイロスズメバチ

 家を造って15年程経った頃、屋根の棟木の処にキイロスズメバチが
巣を造るようになった。
初冬になってハチが居なくなるのを見計らって、その巣を家に飾るため
両手で取ろうとしたが、全く動かない。 屋根の最も高い処で、危なくて自分だけではどうすることもできなかった。
若い社員が家に訪れたとき、ノコギリを使って二人がかりでやっと取ることができた。
厄除けとして良いではないかと勝手に思い込んで、家と会社に置いている。
巣を造るのは、どういう訳か7年程度おきに造る。
このことが不可解で、様々な気象条件、植物の生育、女王バチの状態等、
自然界の動物には、人知の及ばない不思議な行動形態があると思わざるを得なかった。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチの巣

ヘビやイモリ

 他にヘビでは、シマヘビ、ニホンマムシ、アオダイショウ、ヤマカガシ、 ヒバカリ、シロマダラが、今まで見られている。 また、湧水が常に流れている塩ビパイプの中で、アカハライモリが集団 で越冬していた。 水の流れが悪いと思ってパイプを突いたら数十匹が出てきたのには驚かされた。

ヤマカガシ

雪の中で死んでいたヤマカガシ

ニホンマムシ

ニホンマムシの死体

シロマダラ

直ぐに逃げ隠れるシロマダラ

アカハライモリ

塩ビパイプから出てきた数十匹のアカハライモリ

アオダイショウ

ネズミ捕りに捕まったアオダイショウ

ヤマビル、アシナガバチ、ブユ

この3種は、警戒すべき種として掲げた。

ヤマビルは、以前は確認されることはなかったので、
この5,6年前頃からか、この辺りに生息するようになったと推測される。
これも温暖化の影響か。
2019年夏、家の前を草刈りして、汗をかいたのでシャワーを浴びると、
お腹、背中に3匹張り付いていた。
当時は無防備だったため、長靴から内部に入り込み靴下から、上半身へと侵入したとみられる。
吸血にも全く気付かず、非常に驚いた。
それ以降冬物の分厚い靴下を切ったものを長靴に巻き付け、
20%の食塩水で濡らしてヒルが登って来られないようにしている。
これは効果があり、実際ヤマビルがそこで立ち往生していた。

しかし、今年石を移動させた後、
石にいたヤマヒルが手袋と袖の隙間から侵入したのであろう。
手首に張り付き、吸血された。
そのヤマビルを取り払い、食塩水に入れた時、
浸透圧の違いからヤマビルの口から吸血した血液が噴出した。(下の写真)
相当な血液の量であった。
ヤマビルが肌に侵入しないよう対策を徹底すべきと改めて感じた。

ヤマビル

ヤマビルを食塩水に入れたら、吸血された自分の血液がヤマビルの口から勢いよく噴き出した。

アシナガバチは軒裏、2階ベランダ下等に巣を作っているのはよく見かける。
特に攻撃性はないのでそれほど警戒してはいなかった。
しかし最近妻がベランダに出て、
洗濯物を干していた時アシナガバチに手を2カ所、足裏に1カ所刺された。
私自身ベランダで時間を過ごすことも多いので、どうして!というのが率直な気持ちであった。
しかし、その近くをよく見回すと、
なんとベランダに出る処のサッシ下とベランダとの間、約10cm程度の隙間に巣があるではないか。
これには全く気付かなかった。
目の前でうろうろされれば、巣を守るため人を襲うのは必然であろう。
今後、常にアシナガバチの巣の位置を確認しなければならないと肝に銘じた。

ブユは何種類かあるようだが、小型化したハエのようで、危害を加えるようには見えない。
家の横は渓流があるが、そこで繁殖しているのであろう。
池の水を渓流に流しているが、そのメンテナンスをしていた時である。
一瞬の素早さで何かに刺されたと気づいた。
最初は、手首の小さな傷であったが、後に赤く大きく膨れ上がった。
それも1~2日腫れが引かなく、とても厄介な生き物だ。
とにかく自然の中では、
手足、首回り、頭部等ほんの少しでも、肌を露出させないようにすべきだ。