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Vol.13 コロラド川のダム開発とビオトープの保全

古谷野 景久

 私が大学時代に暮らしていた町は、アメリカユタ州南部の小さな町でした。 砂漠と3000m以上ある山々の境にある町で、気候は厳しく、夏は40℃、冬はマイナス20℃近くまで下がりましたが 、真っ赤な砂漠と岩の大地に夕日が沈んでいくのが見える本当に美しい場所でした。 ユタ州というと馴染みがあまりないかと思いますが、アリゾナ州のグランドキャニオンの写真をご覧になられた方は多いと思います。 そのグランドキャニオンの中央を流れているコロラド川の上流がユタ州です。
 今回のコラムでは、そのコロラド川のダムに関わるビオトープのお話をしたいと思います。

 コロラド川はコロラド州ロッキーマウンテンを源とし、ユタ、アリゾナ、ネバダ、カリフォルニア、 そして国境を越えてメキシコまで流れる総延長2,330kmととてつもなく長い川ですが、 砂漠地帯を流れている川の為、水量は満足できるほど多くはありません。 グランドキャニオンの上流にはグレンキャニオン、下流にはフーバーという2つの大きなダムがありますが、 水量不足の為、ダムの完成後もこの湖を満水にするために16年の歳月がかかったという歴史があります。

 ダムというと、私たち日本人にとっては自然破壊の象徴的存在と思われがちです。 確かにダムは多くの環境を変えてしまう大きな要因の一つであり、 コロラド川の2つのダムも自然を守るため、大きな反対運動があったと聞きます。 しかしながら、現地では水がとても貴重であり、砂漠地帯の中では必要不可欠なダムでもありました。 人間も他の生物と同じく、生きていかなければなりません。今では貴重な水資源として、大切に利用されています。

 但し、コロラド川のダムの場合、自然環境を壊しっぱなしというわけではありませんでした。 アメリカ連邦政府はこのダム湖の周りをレクレーション公園として整備し、国立公園局のレンジャーが現在は常駐しています。 環境調査等も行われ、ダム湖の自然環境を守っていくプロセスが組まれました。 又、そのダム湖の周りは土地改良局(BLM)や林野局(Forest Service)、そして各州政府のレンジャーが水源の保全のため、 広大な森林を保全し、維持管理をしています。 私も大学時代、時々その維持管理の作業に駆り出されていたのですが、 毎日山の中を歩き、木々の状態をコツコツと一本一本調査していく根気のいる作業です。 それでも働いているレンジャーの方々はその作業がどれだけ水源を守ることに繋がっているのか、 その意義を大切にして作業されておりました。 これは大学の講義で受けた話ですが、この地域では生き物の種類のうち80%が水辺に集まっているとのことです。 つまり、水源を守ることはこのコロラドリバーとダム湖のまわりの多くの生き物の生息空間(つまりビオトープ)を守ることに繋がっています。 開発と環境の保全を同時に行い、ビオトープの空間を維持しているいい例だと思います。

 私たちの仕事も大自然と比べると本当に小さいのですが、開発した環境に生き物達が住む小さなビオトープを作り出すことです。 私たちが施工させていただいた一つ一つのビオトープは空から見れば点のようなものかもしれません。 しかし、この仕事を続けていくことで、その点がやがて線で結べるようになれば、生き物の生息空間は少し広がります。 また、お客様の憩の場や学習の場となったり、建物の資産価値の向上となったり、集客力を上げたり、 光熱費を下げたりといった付加価値も生まれてくるはずです。これからも、コツコツとこの仕事を続けていきます。 レンジャーの人たちから教えていただいたその意義を大切にして。

'13.12.

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