Vol.18 身近な魚 ナマズ
齋藤 英範
皆さんはナマズと聞いて何を思い浮かべますか?
ナマズは地面の中にいて地震を引き起こす。とか、ナマズは地震が予知できるなどと言われています。それらは江戸時代から伝わる迷信で、科学的根拠に乏しいといわれていますが、昔からナマズが日本人の生活の身近な存在だったことが伺えます。
また、最近ではウナギが絶滅危惧種に指定され、高価になってしまったためウナギの代用魚として期待されています。某大学の研究でウナギ味のナマズが開発されるなど、現在もナマズは我々の身近な存在であり続けています。
ところで、弊社ではビオトープが業務の柱の一つになっていて、設計~施工まで一貫して携わっています。ビオトープは、池や陸地・そこに住む生き物・活用法などを考えながら、造っていきます。そんなビオトープ池にナマズがいると、その生態系に大きな違いが表れてきます。
その、ナマズがビオトープに与える違いについて少しお話していきたいと思います。
まず初めにナマズとは
ナマズ目ナマズ科に属する大型の肉食魚。
横に平べったい口と長い口ひげがチャームポイント。
小魚やエビ、昆虫などを食べる。
基本的に夜行性で、暗いなか口ひげで餌を探して捕食する。
このナマズは、ビオトープ池の厄介者を捕食してくれます。
その厄介者とは、外来種のアメリカザリガニです。
アメリカザリガニはペットショップで売っていたり、近所の川や池にいる身近な生き物です。
しかし、このアメリカザリガニはとても厄介で、ビオトープ池に入ってしまうと、水草を食べて激減させ、生態系のバランスが崩れて、生き物の少ないさびしい池になってしまう恐れがあります。
そこで、ナマズをビオトープ池に入れることで、アメリカザリガニを捕食してくれます。同時に、他の小魚を捕食してしまう可能性もあるので、そのビオトープ池の生態系を崩さないように考えなければなりませんが、ナマズのおかげでビオトープ池の生態系のバランスを取り戻し、生き物が豊かな池にすることが期待できます。
そんなナマズも、最近では数が減ってきています。
河川の水質汚濁や護岸化が進むことによってナマズにとって住みやすい環境が減ってきているからです。
皆さんの近所の川にもナマズがいるかもしれません。その川は汚れていませんか?
気になる・関心を持つことが第一歩です。近所の川を通ったときに、川の水はきれいかな?魚がいるかな?と、立ち止まる人が増えてくれると嬉しいです。それがゆくゆくは、ナマズの環境を守ることに繋がると信じています。
'17.08.