Vol.3 ビオトープづくり

四宮 賢

縁あってこの仕事について半年少々。
今回のコラムを担当させていただく四宮と申します。
暑さから解放されてホッとしていたら気がつけば11月も半ば。
秋深まり、街中の紅葉もあとわずかとなりました。

先日、都内のある小学校でビオトープが完成し、全校生徒の前で落成式が行われ、出席させていただきました。

夏の盛りにスタートした工事は既存の構造物の撤去に手間取るなど苦労があった分、完成の喜びはひとしおで、秋空の下、晴れやかな気分にさせてもらいました。
完成とはいっても時期的な事情から水草などを植えることが出来ず、むき出しの黒土と水面という一見寂しい風景なのですが、注意深く見るとスギナなどの一部の植物が所々に芽吹き、アキアカネなどのトンボも早速飛来しています。
早くもビオトープ(生き物の住む場所という意味)としての歩みを僅かですが確実に進めているのだと感じました。

今回のビオトープ作りは、小学校の生徒、先生方、そして地域の老人会の方々に設計段階から施工まで出来る限り多くの場面で関わっていただく方法で進められました。
ビオトープがその地域固有の自然を再生創出することを目標としているなら、子供を中心に年配の方まで地域の人々の関わり合いによって作られた今回のビオトープ作りは、まさしく理想的であったと言えそうです。
こうした活動の力に少しでもなれたとしたら、手前みそですが大変誇らしくも思います。

ともあれ、ビオトープとは人と生き物とを結びつける場だけではなく、その過程で人と人との繋がりをも育む場であるべきなのでしょう。
今はまだ少し寂しげなビオトープですが、水草の花々が咲き、メダカ、オタマジャクシが群れ、蝶が舞う緑濃く生き物あふれるビオトープの姿を想像し楽しみながら待つ時間を過ごしてほしいと思います。
時の経過とともに子供たちとビオトープが成長していくように、私たちも負けずに成長していきたいと考える今日この頃です。

'05.11