Vol.7 おいしい緑化~都市で野菜づくり~
中村 衣里
目には青葉・・・・、いよいよ新緑まぶしい季節がやってきました。
瑞々しくて柔らかなこの季節の緑が私は大好きです。
ああ、散歩に出かけたくなりますね。
さて、いよいよ今年も緑のカーテン作りが始まります。
緑のカーテン作りに使う植物は、ヘチマ、ゴーヤ、キュウリ、インゲンなどで、その実を収穫して食べることもできる植物です。
緑のカーテンは主に小学校で作ってきましたが、ゴーヤやキュウリなど普段よく食べるような野菜は子供たちに好評です。
小さな苗が成長して自分たちがよく知っている野菜になるのが興味深いからだと思います。
こうして興味を持ち身近に感じるようになった野菜には愛着がわくのか、積極的に食べようとしてくれます。
昨今食べる事に無関心な子供や若者が増えていると聞きますが、「キュウリが美味しかった」「ゴーヤを食べたい」などの子供たちの声を聞くとほっとし、嬉しくなります。
食への無関心という現象も、食に対して興味を持つ心が失われたわけではなく、単に興味を持つ機会が失われただけなのだと教えてくれます。
昔は家の周りに田んぼや畑があり、自分たちが口にするお米や野菜がどのように作られるか知っており身近な存在でしたが、現在は食べ物とは遠くから運ばれて来る既製品と認識している子供も多く、それが食への無関心を生む原因のひとつになっているのでしょう。
それではまた田んぼや畑を作ろうということになっても、建物がひしめく都市部では田んぼや畑にできる土地がありません。そのため、一工夫必要になってくるのです。
上述の建物の壁面を使うのも方法の一つですが、弊社では建物の屋上で野菜やお米を作ることに積極的に取り組んでいます。これまでも、学校の屋上に田んぼを作ったり、プランターでサツマイモを作ってきました。
田んぼは屋上に浅く水を張ることになるので建物を冷やす効果があり、サツマイモは夏場に繁茂して葉を広げるので真夏の陽射しから建物を遮る帽子のような役割も果たしてくれます。
これらは土を使った例ですが、最近では水耕栽培でレタスやナッパなどの葉もの野菜を屋上で作っています。
弊社の水耕栽培は屋上で野菜作りを行うことを想定して開発しましたので、電気を使わないなど従来の水耕栽培にはない特徴があり、手軽に屋上で野菜作りを始めてもらえるようにしています。
学校やマンションの屋上という近場で作物を作ることができれば、その生育の過程を見ることができ、また取れたて新鮮なものを食せるようになるので本来の美味しさを味わえるようになります。
それにより、食べ物を身近に感じ、食べることの喜びと楽しみを知る機会となってくれるのではないでしょうか。
そう願いつつ、今後も身近な場所の“おいしい緑化”に取り組んでいきたいと思います。
'09.05.