永福小学校(杉並区)
水田のあるビオトープの施工事例
永福小学校(杉並区) 2012年12月完成
造成直後(2012年12月)
2013年6月
設計のコンセプトと仕組み
施工面積が約650m²で、このうち水域面積は池・クリーク・水田を合わせると155m²という弊社が設計と施工を担当 した中では最大級のビオトープとなりました。
日本では古来より稲作文化が発展して、人々は低地の川沿いや河口に自然に出来た湿地を利用して水田を作ってきました。
昭和22年ごろの永福小学校の周辺を撮影した航空写真を見ると、学校の南側に位置する神田川沿いに形も大きさも様々な水田が あります。
そういった昔ながらの水田を永福小学校に再現させていただきました。
水源には井戸水と雨水を利用しています。水は一旦池へ溜まり、やがてクリークを緩やかに流れて水田へ入る仕組みになって います。
こうしてある程度の時間をかけて水温を安定させ、その環境になじんだ水となることで、生き物が利用しやすい水へと 変化して行きます。
動植物とその生息環境に深く興味を持ち、よく理解した技術者だからこそ、設計・施工できるビオトープとなっています。
水際の施工法に一工夫あり
水際は最も頻繁に動植物によって利用される場所です。
例えばトンボの仲間や小型の魚類は水際に繁茂する水草周辺を産卵場所にします。
ビオトープを施工するにあたって、生物が利用しやすい水際を設計することは最も重要なことの一つです。
水際の施工には独自の工法を採用しています。
粘土で成形した上に出来るだけ厚く赤土を被せることで、 植物が繁茂しやすい、また多くの種類の動物が利用できるように施工します。
冷たく栄養分の少ない井戸水と雨水は池へ入り、そこから時間をかけてクリークを流れ、左奥の水田へ流れ込みます。 こうすることにより、水温は上昇し、水質が安定し、生き物の利用しやすい水へと変化してゆきます。
水田の形は、四角い形に基盤整備される以前の、自然の湿地や氾濫源を利用した形を再現しました。
右奥に見える太陽光パネルによって水中ポンプを駆動、井戸水を汲み上げます。
子ども達が自分で井戸水を汲み上げることができるように、手押しポンプも設置します。
怪我防止、安全のためのカバーも設計・設置します。
左側に見える雨水タンクには、雨樋と井戸から自動的に水が入る仕組みになっています。
永福小学校の水田ビオトープの写真集
2012.12.3
春になるのを待って植栽することになります。今後の変貌が楽しみです。
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