アメリカザリガニの食害

実験開始3日後2週間後
実験開始3日後2週間後

水生植物に対するアメリカザリガニ(以下ザリガニ)のものすごい食欲について紹介します。

上の左写真はトチカガミ(※1)が繁茂しているコンテナに体長4cm以下のザリガニ40個体を入れてみました。
実験開始から3日後には食害が目立ち始め、2週間後にはほとんど食べ尽くされてしまいました。
いかにすごい食欲かおわかりいただけると思います。

淡水域では水生植物、水生昆虫、魚類等に多くの種が絶滅危惧種にリストアップされています。
全国レベルで水環境の質的低下も叫ばれています。
これらには、ザリガニによるすさまじい食害が大きく関与していることは間違いないと思われます。
例えばメダカの卵は水生植物に付着して成長しますが、その水生植物の著しい減少が、メダカが絶滅危惧種になった1つの要因と思われます。 また、減少の目立つイトトンボ類の多くは、沈水、浮葉植物が大切な産卵場所です。(※2)

もちろん水域の環境劣化をザリガニだけのせいにする気はさらさらありません。
水質汚濁や水辺のコンクリート化等も大きな要因です。
しかし、水質や水辺の構造だけを改善して豊かな水草が再生したという例は、多くありません。
作りたての水辺では水草は活着しやすく一見成功したように感じますが、数年で水草が消失することが多く、これは主にザリガニの食害が観察確認されています。

ザリガニさえいなかったらどんなに良かったか・・・・・。

ザリガニの食害の痕跡

ササバモ(沈水植物)ザリガニによる食害痕跡

※1 トチカガミ:この水生植物もかつては荒川下流域に分布していたようですが、近頃見かけません。
※2 植物産卵するトンボは多く、またヤゴもザリガニの捕食対象です。

アメリカザリガニの豆知識

アメリカザリガニ

アメリカザリガニは食用ガエルの餌として昭和5年に現在の鎌倉市に移植したのが最初で、その後、旺盛な繁殖力も手伝い、20年の間に本州、四国、九州の各県に分布を広げたとされています。
メスは、温暖期(6~10月の水温18~25℃)に200~1,000個の卵を生むとされます。約2週間で孵化した後、さらに約2週間を経て体長約8mmの小エビとなり、摂食も可能になります。 脱皮を繰り返し、個体差はあるものの1年後には体長約4cm、2年後に約6cmに成長します。雑食性で何でもよく食べる一方でかなり長期間の絶食にも耐えるようです。 渇水で水が干上がっても穴の中や石等の裏でじっと待つ忍耐力も併せ持ちます(冬眠も同じ)。 ですから生命力は天下一品なのです。

ただしザリガニにも弱点があります。
それは流れの早いところ(底泥が砂質になるような流れの早い場所は苦手なようです)、 一年中低い水温の場所(本来暖かいところに生息する動物であり、標高の高いところや北海道には分布していない)、 比較的浅く(サギ等に補食されやすい)、底質が硬いところ(穴を掘りにくい)とされます。 ザリガニに居心地を悪くさせるには、停滞水域なら現在のところ、穴を掘らせないよう粘土などで底質を固め、水深20cm以下にするしか手はないかもしれません。

上述しているように、水辺の植生(水草)が消失してしまう原因としてザリガニの食害が近年問題になっています。
ザリガニは肉食性というイメージがありますが、幼生から成体になるまでは主に植物を食べます。 成体になっても餌が不足すれば植物を食べ、柔らかい順に沈水 植物→浮葉植物→抽水植物などを食べていきます。 また、ヨシ(葦)などの固 い植物も食べてしまうという報告もあります。
様々な生物が生息する豊かな生態系が成立している所では1つの種類が優占することはありませんが、人工の水辺では単一の生物が優占しています。 特にザリガニは200~1,000個の卵を産むわけですから、水辺の植物の消失に大きく関係していると言え、注意が必要です。