久松小学校(中央区)
屋上ビオトープの施工事例
久松小学校(中央区) 2012年8月完成
設計のコンセプトと仕組み
面積は約30m²とコンパクトながら、動植物と子どもの好奇心、加えて環境に配慮した設計になっています。
太陽光発電により水中ポンプを駆動、左図の左上から右下の池へ水を揚げて、小川の流れを作っています。
蒸発により水が少なくなった時には、雨水タンクに貯蔵されている雨水と水道水が自動供給される仕組みになっています。
生物相を豊かにするために、流水と止水、それにマウンドを設けて物理的な変化をつけます。
マウンドを造るのは、湿気の多い場所と少ない場所を作り出すためです。
このように変化に富んだ環境を造ることで、 屋上であっても生物相の豊かなビオトープを造ることが出来ます。
水深は池で10cm程度とごく浅く、子どもの目線で昆虫や小魚、水生植物などを観察しやすい設計になっています。
独自の施工法と工夫
小川は直線ではなく、野外に見られるのと同じように湾曲させて変化をつけます。
こうすると流れの早いところと遅いところが出来ます。
右下の池には通常の水位より少し高い位置にオーバーフローが設けられており、雨量の多い時には水が排水されます。
雨天時には水位が高く、 晴天時には水位が低くなり、自然にある池と同様の水位の変動を再現します。
陸部分の全体にノシバをはり、マウンドにはヨモギやヤブカンゾウ、水際にはセリ、水中にはエビモやマツモやガガブタといった 植物を植栽します。
全て関東地方起源の植物で、弊社の圃場で栽培しているものです。
雨水を有効利用するための雨水タンクを設置、水道水の消費量を出来るだけ抑えます。
久松小学校の屋上ビオトープの写真集
2012.8.28
施工の最後の行程であるメダカの放流と植栽が終わってしばらくすると、植物も活力を増し、水質も大分安定してきます。
2012.8.28
すでにトンボのヤゴが生息していました。
飛翔能力の高いトンボ類は上空から目ざとく水辺を見つけて産卵しにやってきます。
この個体の大きさから、しばらくの時間成長してきたことがわかります。すでに水質や餌の面で生息できる環境が整いつつあるようです。
2012.10.2
さらに1ヶ月経つとギンヤンマの羽化を確認することが出来ました。
クモの巣に捕らえられて力尽きていますが、抜け殻もあることから、 この場所で卵から成虫まで成長したことは間違いありません。
しばらく経過を観察しなければなりませんが、これから様々な生命の営みが見られることを期待します。
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