ホウレン草の軽石水耕栽培に挑戦中
ホウレン草はビタミン等の栄養分も豊富なため、一年中食べたい、極めて重要な野菜です。
前回のレポートでもお伝えしたように、今回は軽石水耕栽培によるホウレン草の栽培についてご紹介します。
葉物野菜は、アブラナ科、キク科などが多いのですが、ホウレン草はアカザ科に属します。 アカザ科は野草のアカザのように根が土中深く伸び、しかも比較的乾燥地を好みます。 湿潤環境を好まないということは、根の酸素要求量が高いということになります。
今まで取り組んできた弊社の浮上式水耕栽培、軽石水耕栽培ではホウレン草の根の酸素要求を満たすことができないため、途中で成長が止まっていました。
液肥を曝気すれば良いと思われるかもしれませんが、曝気は、一方では鉄やマンガンを酸化沈殿させるマイナス面もあります。
(これをカバーするには新たな液肥を追加注入しなければなりませんが、コスト増加と栄養過多になります)
また、電気エネルギーの使用はなるべく避けたいものです。
そこで、前回のレポートで紹介した軽石水耕栽培を改善した方法で栽培しています。
軽石水耕栽培で育てたホウレン草はビタミン豊富
この栽培方法で育てられたホウレン草は、栄養分を多く含みます。文部科学省の日本食品標準成分表のホウレン草の値と比較して、ビタミンAが1.7倍、ビタミンB1で1.2倍、ビタミンB2で1.2倍、ビタミンCで2.2倍、葉酸で1.3倍それぞれ高くなりました。
軽石水耕栽培で育てたホウレン草はエグみがない
左: 当社の軽石水耕栽培によるもの
右: 一般の土壌栽培によるもの
軽石水耕栽培のホウレン草[写真:左]は細かい根(毛細根)がたくさん生えており、また茎は細く、葉の色も薄めです。 対して、一般の土壌栽培で育てたホウレン草[写真:右]は直根が発達し毛細根はほとんどなく、また茎も太く、葉の色がとても濃くなっています。
直根は植物の成長を促す窒素成分を吸収します。 窒素成分は過剰に摂取すると“硝酸塩”として野菜内部に溜まりやすくなります。 “硝酸塩”は野菜のエグみの原因となり、葉の色を濃くします。 また、健康面の観点から野菜中に含まれる“硝酸塩”は低い方が望ましいとされています。
比較の土壌栽培では、一般的な園芸用土(肥料成分の多い土)を使ったためこのような結果になったと考えられます。
対して、軽石水耕栽培の場合は、必要最低限の少ない肥料で(液体肥料により調整が可能)※、
かつ適度に乾燥した環境で栽培できるため、毛細根の生育が促され、このような結果になったと考えられます。
さらに、毛細根は野菜の糖度を上げてくれるリン酸をよく吸収するため、軽石水耕栽培のホウレン草は、葉が柔らかくてエグみもなくほんのり甘みのあるものになります。
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現段階ではまだ実験中の段階ですが、引き続き軽石水耕栽培によるほうれん草のの栽培方法を研究していくつもりです。
2011年5月